対テロ総研ーテロの発生原因、対策、影響を考える

テロの発生原因、企業の取るべきテロ対策、企業活動への影響等をわかりやすくお伝えします。

テロってそもそも何?- ③日本のテロリズムの定義からベルギーで発生したテロを見てみると

こんにちは、ネコテックインダストリー対テロ調査チームアナリスト桃井です。

22日未明ベルギーにおいて大規模な爆弾テロがあり30名以上の方が死亡するという痛ましい事件がありました。亡くなられた方のご冥福と、負傷者の方の一刻も早いご回復を祈念しております。

23日の報道ではこのテロが以前から計画されていたのではないかという点が指摘されています。一方でパリでの無差別テロの首謀者逮捕に対する報復といった見方も出ています。いずれにせよこうしたテロは前回指摘した米国の認識するテロリズム「市民に対する暴力行為」に最も近いものになります。

 

今回は我が国日本のテロリズムの定義を見ていきたいと思います。

 

日本のテロリズムの定義のポイントは「攻撃対象に対するもののみではなく市民等の第三者に対する暴力行為」を指摘している点です。

どういうことかというと、例えばあるテロリストの敵がA国政府であるとした場合、直接A国政府の象徴となる施設(国会、官庁等)を攻撃するのではなく、A国民あるいは他国民等を人質に取ることでA国を自分たちの思惑通りに動かそうとすることが該当します。言い換えると人質を取って自分たちの目的を達成させるよう敵対対象に圧力をかける行為となります。

 

ではなぜ日本はこういったケースをテロリズムとして認識しているのでしょうか。

これには過去に日本が経験したテロリズムが影響しているとされます。

 

たとえば、1977年に発生したダッカ日航機ハイジャック事件はこの際たるものに該当します。この事件は連合赤軍の構成員が日航機の乗客を人質に取り、日本政府に対し拘留されている構成員の釈放および身代金を要求した事件です。

例外はもちろんありますが連合赤軍によるテロリズムはこうしたテロという手段を以って目的を達成しようとするものが主流でした。

 

実際現在頻発しているイスラム過激派等によるインパクトのある市民に向けられた無差別テロのようなものは1995年の地下鉄サリン事件以前の日本ではあまり発生していません。何かしらの目的を持ったテロリストがその手段としてテロリズム、この場合はハイジャックに及ぶというタイプのテロリズムが日本が経験したテロリズムとしては主流だったという点も日本のテロリズムの定義に影響したものと思われます。

 

これに対して前述のベルギーでのテロは市民に対する暴力行為そのものが目的となっている点が指摘できます。日本ではこうしたテロリズムは近年まであまり認識されてこなかったということが指摘できるのかもしれません。

 

ではなぜ今回ベルギーで発生したようなイスラム過激派によるテロリズムは「テロそのものが目的」となるのでしょうか。次回はこれについて考えていきたいと思います。